予備試験に合格するには何時間の勉強が必要?

はじめに

予備試験・司法試験にチャレンジしようと考えている方にとって、これらの試験を合格するために必要な勉強時間は気になるところです。結論的には、最低限の時間として3000時間は必要です。これはあくまで最低限必要な時間であって、通常、合格するためには5000~10000時間は必要でしょう。

1 短期合格者の場合

短期合格者はおおよそ1年程度で予備試験に合格します。つまり、1日10時間勉強するとして3650時間、1日8時間の勉強だとしても2920時間の勉強をしています。実際にはたとえば4月から受験勉強を始めて翌年5月の短答式試験に合格し、7月の論文式、10月の口述式へと進んでいきますので、短期合格者でも合格までに1年と数カ月の勉強期間を要することになります。そのため、合格に必要な最低限の勉強時間として3000時間は見積もっておく必要があります。

2 僕の場合

僕の司法試験の合格までの勉強時間を計算すると、およそ8000時間でした。4年間毎日5時間の勉強を続けると7300時間となるので、それより少し多いくらいですね。これは、司法試験の合格のために行った受験勉強の時間を算出したものなので、司法試験にはあまり役に立たない学部・ロースクールの講義や他の法律系資格(法学検定や行政書士)の勉強時間などは除いて計算しています。これらの時間も合算すると10000時間を超えます。

3 必要な勉強時間を計算してみよう

ご存知の通り、予備試験・司法試験に合格するためには、短答式試験・論文式試験に合格し、予備試験であればこれらに加えて口述式試験に合格しなければなりません。では、各試験に合格するためには一体どれくらいの時間が必要でしょうか。多くの受験生が論文式試験対策を中心として、その対策で補えない知識をそれぞれ短答式試験対策・口述式試験対策を行い習得していますので、このような勉強方針に沿って必要な勉強時間を割り出してみます。独学で進めるか、予備校を頼るかによっても必要な時間数が異なりますので、分けて検討していくことにしましょう。

時間のない方のために表にまとめておきました。おおよそ予備試験の合格には3500時間~4000時間は欲しいです。

基礎知識習得1000~1500時間
論文基礎力養成1500時間
論文過去問演習500時間
短答過去問演習300時間
口述式試験対策200時間
合計3500~4000時間

(1)基礎知識習得

まず、基礎知識を習得する必要があります。独学の場合、入門書を読んでその法律の全体像を把握してから基本書や予備校本に進むのが効率的です。そして、1つの法律の入門書を読むのにおよそ20時間ほど必要となります。そうすると、選択科目を含めて8科目の入門書を読むのに160時間ほどかかる計算になります。次に、基本書や予備校本ですが、1冊の法律書を読むのに50時間ほど必要ですので、1科目につき1冊で合計8冊読むとしても400時間ほど必要となります。しかし、一通り読んだだけでは全く定着しないので、最低2~3回は読みたいところです。加えて記憶のための時間も必要です。そうすると、独学だと基礎の習得に少なく見積もって1500時間は必要と言えます。

基礎知識の習得に関して予備校を頼る場合はどうでしょうか。基礎講座はおおよそ300時間のものが一般的です。この時間には入門講座の時間や選択科目が入っていないので、これらも加味するとおおよそ350時間程度で一通り受講できます。基礎講座を一通り受講し終わると、独学で一通り法律書を読んだときよりもより理解ができているはずです。そのため、基礎講座受講後の知識の定着にかかる時間が減り、記憶のための時間をとっても1000時間程度で基礎知識を習得可能です。確かに基礎講座を購入すると金銭的には負担がありますが、時短効果が大きいのです。

(2)論文基礎力養成

次に、習得した基礎知識を答案に反映できるようにトレーニングを積んでいきます。いきなり過去問に挑戦しても歯が立たず、挫折に繋がりやすいので、難易度・分量的に基礎的な問題が掲載されている問題集を使用することになります。答案付きのものを使用しないと答案の書き方がわからないので、市販のものなら伊藤塾の試験対策問題集(いわゆる赤本)か辰巳法律研究所のえんしゅう本のいずれかを選択することになるでしょう。実際に答案を書くという作業もしなければなりませんし、少なくとも各科目2回ずつはやっておきたいので、1500時間は必要です。

他方で、論文についても予備校を頼ることができます。論文講座は基礎講座よりも時短効果は小さいですが、論文式試験のテクニックを学べる、答案の書き方を詳しく教えてもらえる、論証の意味を理解できるなど各講座ごとに特色がありますので、頼ってみるのもいい選択だと思います。

(3)論文過去問演習

基礎的な問題について答案を書けるようになったら、過去問に挑戦します。予備試験の論文式試験を1年分解くだけでも10時間以上かかります。これを10年分行うとして100時間以上必要です。そして復習時には出題の趣旨の読み解き、自分の答案の分析、関連事項の復習など、解く時間の4倍以上の時間をかけたいところです。そうすると、解く時間と復習の時間を合わせて、500時間(100時間+400時間)は必要です。

(4)短答過去問演習

論文の実力がついてきたら、短答式試験の対策も行わなければなりません。過去問を解くことで論文式試験ではあまり使わない細かい知識を習得します。1年分解くのに3時間以上、10年分行うとして30時間以上必要です。解答を見る際には、条文を引いたり関連事項を調べたりするのに解く時間の2倍以上の時間をかけたいところです。そのため、解く時間と複数の時間を合わせて90時間(30時間+60時間)、これを3回行うとして約300時間は必要です。

(5)口述式試験対策

論文式試験の終了後は、口述式試験の対策に移行します。実際に口述式試験に進めるのは論文式試験に合格した人のみなので、この試験を受けると言うことは基本的な知識は備わっていることを意味します。そのため、ここまでの受験勉強でカバーできなかったところをカバーすることと、これまで習得した知識を維持することが口述式試験対策の中心となります。論文式試験の合格発表から口述式試験の実施までの限られた期間で対策をすることが多く、確保できる勉強時間は200時間ほどになります。

 

kubota
合格するために必要な時間は人によって違いますし、そもそも全員が合格できるわけではありません。それでも予備試験に挑戦すると決めたのであればうまく予備校を利用して効率的に試験対策を進めていくことをおすすめします。

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