はじめに
予備試験や司法試験の勉強をしているとどうしてもわからないところがが出てきてしまいます。そんな参照したいのは詳細に書かれた信頼のおける基本書です。信頼のおける基本書を読めば、おおよその疑問は解決できますし、たとえ疑問を解決できなかったとしても何かしらのヒントを得られることが多いです。また、信頼のおける基本書に書かれていないような疑問については、とりあえずわからないまま進めてよいという目安として使用することもできます。
そのため、詳細に書かれた信頼のおける基本書については座右に置いておきたいところです。ところが、たくさんの基本書の中から信頼のおける基本書を選ぶのは難しいことですし、それに時間をかけるのももったいないです。そこで、私が最も信頼している基本書とその他の信頼できる基本書を紹介しますので、この中から選んでいただければと思います。
1 最も信頼している基本書
私が最も信頼している刑法の基本書はこちらです。
- 刑法総論 第3版(弘文堂) 西田典之
- 刑法各論 第7版(弘文堂) 西田典之
この本は、非常に慎重な記述が特徴です。とりたててわかりやすいわけではありませんが、しっかりと向き合って読むことによって理解できるような文章となっています。刑法の基本書は著者の思想を濃く反映した作品的なものが多い中で、この本は客観的な解説を強く意識しているように見受けられます。特に各論については全く隙がなく信頼性が高いです。
2 その他信頼できる本
(1)刑法を理解したい
- 基本刑法1 総論 第3版(日本評論社) 大塚裕史、十河太朗、塩谷毅、豊田兼彦
- 基本刑法2 各論 第2版(日本評論社) 大塚裕史、十河太朗、塩谷毅、豊田兼彦
この本はとにかくわかりやすいです。刑法は学説が激しく対立しており、しかも抽象的な論理操作が多いため理解するのが大変な科目ですが、この本はまるで階段を一段ずつ上るかのように丁寧に解説してくれています。刑法で迷ったらこの本を開きたいところです。
(2)必要な情報を素早くゲットするなら
- 新基本法コンメンタール刑法 第2版 浅田和茂、井田良ほか
この本は、条文ごとに必要な情報がまとめられているので非常に便利です。また、刑法各論の諸問題がどの条文に位置づけられているのかを確認するために使用することもできます。
(3)論点を深く学ぶなら
- 刑法総論の悩みどころ(有斐閣) 橋爪隆
- 刑法総論の考え方・楽しみ方(有斐閣) 佐伯仁志
いずれも論点を深く学ぶにあたって適切な本です。橋爪先生の本のほうがより判例分析をしている傾向があります。いずれも単行本化しているのは刑法総論のみですが、法学教室には各論に関する連載も掲載されています。総論だけでなく各論についてもコピーなどで手に入れておきたいところです。なお、刑法各論の悩みどころは法学教室427号~450号、刑法各論の考え方・楽しみ方は法学教室355~378号にそれぞれ掲載されています。
(4)普段使いに
- 刑法 第3版(有斐閣) 山口厚
この本は刑法の中ではコンパクトな基本書です。学説の記載は最小限度にとどめているのが素晴らしいです。刑法は学説を勉強しだすと沼にはまってしまってなかなか抜け出せません。なお、近時の司法試験では学説を知っていることを前提とした問題が出題されていますが、この本に掲載されている学説の範囲を超えるものではありません。
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