予備試験に合格できるかどうかは〇〇で決まる

はじめに

まず、結論から述べると、予備試験や司法試験に合格できるかどうかは最終的には運で決まります。「それだったら勉強する必要がないのでは?」と思うかもしれませんが、僕が伝えたいのはそういうことではありません。では、「運で決まる」ことを断言することで何を伝えたかったのか、その真意を解説していきます。

1 なぜ運で決まると断言できるのか

まず、前提として、なぜ僕が、予備試験や司法試験に合格できるかどうかは最終的には運で決まると断言できるのか、その理由について述べますね。「運」という言葉の意味を調べると、「不幸などをもたらし、状況を動かしていく、人の力ではどうすることもできない作用」などと書かれています。こうした「人の力ではどうすることもできない作用」が「最終的には」試験の合否に影響してしまうというのが、「……運で決まる」の意味となります。言い換えれば、法律の実力や受験生のマネジメント能力だけではどうしようもない作用の影響を受けることがあるということです。たとえば、どんなに対策をしても人である以上ミスは生じ得ます。それは誤字脱字といった小さなミスから氏名を書き洩らすなどの大きなミスまであり得ます。また、受験当日の交通事故や、パンデミックの影響で受験自体困難になったりと、本人には防ぎきれない理不尽な事象によって合格できないという事態も発生し得ます。

決して、予備試験や司法試験に合格できるかどうかは運だけで決まると言っているわけではありません。受験勉強を通じて法的能力(法的思考力・問題解決能力など)を高めることで、合格の可能性を高めることが可能です。ただし、合格の可能性は100%にはなりません。どんなに法的能力があって、どれだけ本人がハプニングの対策をしても、防ぎきれない事象があることによって、合格可能性を100%にまで高めることはできないのです。だからこそ、僕は、予備試験や司法試験に合格できるかどうかは最終的には運で決まると断言できるのです。運の要素を完全に排除することは不可能ですから。

2 受験対策はどうあるべきか

予備試験や司法試験に合格できるかどうかは最終的には運で決まるとすると、受験勉強は意味をなさないのかというと、そういうわけではありません。むしろ、受験勉強を通じてたとえ0.1%でも合格の確率を高めるべきです。この意味において、僕は、受験勉強を、合格確率を限りなく高めるための作業であると位置づけることをおすすめします。そして、実際に行っている受験勉強が合格確率を上げることに寄与しているかどうかを常に検証すべきであると考えます。

では、受験対策において具体的に何を行うべきでしょうか。もちろん、各々の受験生が置かれている立場にもよりますが、おおむね、重要事項については答案を作成できる程度の法的能力を備える必要がありますし、それ以外の事項についても正否を判断できる程度の法的能力を備える必要があります。また、やるべきことは受験勉強だけにとどまりません。受験期間中は可能な限り受験会場の近くの宿泊施設に泊まるべきだと思いますし、本番形式の模試を受けるなどして何度も試験本番のシミュレーションを行うべきだと思います。さらに、試験当日までに夜型の生活を修正する、自分の体調を悪くする食べ物を把握しておくなどといった生活面のマネジメントもあなどれません。こうしたありとあらゆる対策を通じて、合格の確率を限りなく高めることこそが、受験生の取り組むべき受験対策だと思います。

3 受験対策を尽くした先に見える景色

上述のような受験対策を尽くした場合には、試験本番では、それまでにシミュレーションしたことを実行するだけになります。いわば、試験本番でさえも合格確率を高めるための作業にすぎません。たとえば、論文試験では、問題に答えつつ、配点の振られていそうな箇所について漏れなく記載するという作業を正確にこなす必要があります。このような状態になれば、予備試験や司法試験に合格することは、目の前のボールを手で掴むくらいの難易度にまで下がります。

ただし、受験生の中でこうした状態にまで至れる人はほんの一握りです。圧倒的に多くの受験生は、何かしらの問題を抱えながら試験本番を迎えます。予備試験や司法試験の難易度に鑑みれば、それらの試験への合格確率を8割や9割に持って行けただけでも大したものです。可能な限りの受験対策を尽くすことは大事ですが、それに囚われすぎずに、自分が可能な範囲で合格確率を上げていっていただければと思います。

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